飲食店における予約のキャンセル問題、SNSやマスコミの間でもクローズアップされるケースが増えてきました。
予約キャンセル問題について店舗はどんな対策ができるでしょうか。キャンセル問題の現状と合わせて紹介します。
飲食店の予約キャンセルは大きく分けて2つ
予約していたにも関わらず、店に連絡せずにそのまま来店しない「無断キャンセル」
予約当日や前日などにキャンセルする「ドタキャン」があります。
飲食店ならば予約の際にコース料理などを指定するコース予約と、席だけを確保する席のみ予約と大きく2つに分かれます。
コース予約をしていた場合、キャンセルが入れば当然食材が無駄になり、飲食店に大きな被害がでます。
飲食業界の被害は年間約2000億円
飲食業界の無断キャンセル被害について、経済産業省が2018年⒒月に発表した飲食店における無断キャンセル対策レポートによると、この無断キャンセルが飲食業界に与えている損害は年間約2000億円に達し、飲食店の予約全体の約1%を占めてして非常に深刻な問題になっています。
無断キャンセル対策を行っている飲食店は少ない
飲食店にとって死活問題の無断キャンセルですが、キャンセル料を請求している飲食店はまだほんの一部であると経済産業省のレポートでも報告されています。
なぜ、無断キャンセル対策をしないのでしょうか。
悪いイメージがついてしまう
キャンセル料を請求することは飲食店の正当な権利だが、そのことによってSNSなどに悪評を書き込まれたりした場合、店舗に悪いイメージがついてしまう。
お客様と連絡を取るのが難しい
予約確認連絡や、いざキャンセル料の請求をする連絡も、電話の場合、着信を拒否されたり、電話に出ないことが多く、メールの場合は返信がこないなど相手とコンタクトを取れない場合があります。
連絡を取るため何度も業務の手をとめ相手に電話やメールをするのは、店側の負担が大きくなります。
損害賠償の難しさ
キャンセル相手に損害賠償を求めた場合、相手素直に損害賠償に応じてくれる場合はいいですが、そうでない場合、損害を回収することは交渉や裁判による必要があるため時間がかかり裁判費用などコストの問題もあります。
無断キャンセルした予約者に損害賠償はできる
飲食店の予約について法律的にはお客様が予約をした時点でお客様とお店との間で飲食サービス提供契約とでもいうべき契約が成立します。
そのためお客様がお店との契約を一方的に破ってお店に損害を与えた以上、法的にはお店はお客様に損害賠償を請求することができるということになります。
ただ、損害額の算定や裁判などの費用などを考えると、損害賠償請求が実際に行われることは少ないでしょう。
無断キャンセルの問題点について
無断キャンセルをされた場合、特にコース予約においては用意していた食材を他の注文で埋め合わせることが非常に難しくなり、日持ちしないものは廃棄しなければならない。
時間を過ぎても予約客が来店した時のために席を空け続けなければならず、数時間にわたり他の客を入れられない。事前にキャンセル連絡があれば別の客の入店を促せたかもしれず、無断キャンセルによる損失もそうだが、店舗側の心的ダメージも計り知れない。
キャンセルの年間発生額は1兆6000億円
2018年11月、経済産業省が増加する無断キャンセルの実態を把握するために、全国的な調査を実施し、『No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート』を発表しました。これによれば、無断キャンセルが飲食店業界全体に与えている損害は年間約2千億円。また、2日前までに申し出のあったキャンセルも含めると発生率は6%強、金額にして1兆6000億円およぶと推計されています。これだけの金額になれば、社会問題と言われるのは当然のことです。
無断キャンセルなぜ起こるのか
ここ数年で顕在化してきて社会問題にまでなっている無断キャンセル問題はなぜ起こるのでしょうか。
スマートフォンの普及や予約ツールの進化と多様化
無断キャンセルが増えた理由の1つが、スマートフォンの普及でしょう。時間を問わず手軽に予約できるようになり、予約へのハードルが低くなったことは飲食店にとってよい面もありますがデメリットにもなります。「同じ日時に複数予約しておいて、当日相手の好みや気分に合わせて店を選ぶ」といった、店の都合を考えない予約をする人も増えている。さらに、店のホームページや飲食店検索サイトなど、予約ツールが増えたことも関係しているでしょう。「とりあえず、いくつかの店で人数分の席を確保しておこう」と複数のツール経由で予約した結果、自分がどのツールから予約したのか分からなくなり、結果的に無断キャンセルにつながってしまうこともあると思います。
キャンセルポリシー、料金の未設定
飲食店キャンセルポリシーやキャンセル料金を設定しているところはまだあまり多くはありません。そのことも理由の一つとして考えられます。何日前にキャンセルをした場合には料金がいくら発生するのか、といったポリシーがあるだけで、軽い気持ちで予約をする人は少なくなるはずです。
ネット予約で証拠が不十分
ススマホやネットからの予約が主流になった現在ではインターネットでのボタン一つで予約が可能です。名乗らずに登録一つで予約が可能なので、仮に団体の予約が入っていて無断キャンセルをされたとしても、相手を探し当てるのは困難です。
無断キャンセル対策、対処法
飲食店の無断キャンセルの対策、対処法はどのようなものでしょうか。正しく対策、対処をすることで、無断キャンセルを減らせるかもしれません。
SNSでのリマインド
予約のあった電話番号宛にSMSでリマインドを送信する方法もあります。日中であれば、予約者は仕事かもしれません。電話には出られなくともSMSであれば容易に確認ができます。また、Eメールでの連絡は見てもらえなくても、SMSの通知は視認性が高く確認してもらいやすいメリットがあります。当日だけでなく、無断キャンセル後にもSMSで複数回リマインドを送ることで、その後の対応もスムーズに行える可能性があります。
事前決済システムを利用する
予約時点で決済をしてしまう、事前決済システムを導入することで、無断キャンセルは防げるでしょう。お金が発生していることでユーザーとしては何としても行こうとしますし、キャンセル料の徴収も確実にでき、店側の負担も減らせます。
弁護士が代行でキャンセル料を回収するサービス
多忙な店舗運営の合間に相手への連絡や徴収活動を行うことは簡単ではない。そこで、対応に手が回らない飲食店に代わって、弁護士がキャンセル料を回収するサービスも登場している。無断キャンセルが発生すると、弁護士がキャンセル料を回収するというものだ。サービス内容をチェックして利用してみることも一案です。
当事務所では、日頃キャンセル料のご相談を多くいただいております。
キャンセル料でお悩みの方はまずは無料相談窓口までご連絡いただければ幸いです
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